DXとCXの関係性は?事例を踏まえて解説!
DXとは?
DXは、正式名称を「 Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション) 」といいます。直訳すると「デジタルによる変容」という意味になりますが、経済産業省ではDXの定義について以下の通り提唱しています。
” 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
引用:https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf |
要約すると「DX=企業がITを活用して生産性や競争上の立ち位置を向上させること」で、それを実現するための取り組みを「DX化」といいます。
DXやDX化についての詳細は以下の記事でより詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
DX化とIT化は何が違う?DX化の必要性やメリット・課題、成功事例もご紹介
CXとは?
CXは「 Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略語で、直訳すると「顧客体験」という意味をもちます。顧客が商品・サービスの購入や利用をする際に感じる価値のことを指すビジネス用語です。顧客体験価値と呼ばれることもあります。
ここでいう価値とは、「この製品を買って良かった」「お得な買い物ができた」といったことだけではありません。カスタマーサポートにおける対応の丁寧さや入店時に感じた店内の雰囲気など、商品・サービスの購入前〜購入後までに体験するすべてがCXに含まれます。
また、CXは「コーポレートトランスフォーメーション」の略語として使われることもあります。企業がもつ価値観・考え方を最適化し、組織戦略の改革を行う取り組みのことです。
その他UX、CSとの違い
CXと似た意味をもつ言葉としては、「UX」や「CS」が挙げられます。
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、直訳すると「ユーザー体験」という意味をもつ言葉です。商品・サービスの機能を体験した際に感じる価値のすべてがUXに含まれます。CXと混同されがちな言葉ですが、CXは購入前〜購入後という包括的な体験を指し、UXは購入した商品・サービスそのものに感じる価値のことだけを指すことが多いです。
一方、CSは「カスタマーサティスファクション」の略語で、顧客満足や顧客満足度のことです。商品・サービスを利用した顧客がどれくらい満足したのかを表した指標になります。CSを向上させるには主にアンケートで顧客の満足度を数値化し、満足度の維持や不満を解決する必要があります。顧客の上回る価値を提供するCXとは目的が異なる取り組みですが、「CXの成功度を数値化したものがCSとして現れる」といった解釈もできます。
DXとCXの関係性について
DXとCXの関係性をひと言で表すとすれば、「手段と目的」です。
詳細は後述しますが、CX向上は企業側・消費者のどちらにもメリットがもたらされる重要な取り組みです。向上させるための手段は様々ですが、中でもDXは有効的な手段のひとつと言えます。DXではデジタルを活用することで顧客のニーズに基づいて商品・サービスが改革されるため、結果的にCX向上につながります。
IT化が進んだ現代において、CX向上のための指標を把握するにはデジタルやデータの活用が必須です。CX向上を目指すのであれば、DXの推進に取り組むべきと言えます。
CXを改善するためのDX戦略推進手順
CX改善のために行うDX方法をステップ形式でまとめると、以下の通りです。
1. 目的を明確にする 2. 現状を分析して自社の強み・弱みを把握する 3. 目的と現状のギャップを埋める戦略を立てる |
DXを推進するにあたって、まずは「自社の理想とするあり方とは何か?」「DXを推進した先に何を求めているのか?」を明確にすることが重要です。
次に自社の商品・サービスや組織、業務プロセス、企業文化など様々な観点から自社を分析しましょう。分析結果から見えてくる自社の強みや個性、そして自社の弱みと言える部分を把握します。
目的と自社の強み・弱みを明確化したら、そのギャップを埋めるための戦略を立てましょう。
DXによるCX改善のメリット
先述の通り、DXの推進でCX改善を行うことで企業側・消費者側のどちらにもメリットがもたらされます。具体的なメリットは、以下の通りです。
企業側のメリット
DXが推進すればマーケティングの精度が向上するため、ECサイト運営の場合でも対面販売の強みである「個別のおもてなし」がWEB上でも実現可能です。チャット形式のカスタマーサポート窓口や、オンライン接客などのサービスを導入している企業が増えている近年の傾向がこのメリットの重要性を裏付けています。
デジタルの活用によりCXを改善し、価格などの単純な要素に留まらない価値を提供できる企業は市場の競争において優位に立つことが可能です。
消費者側のメリット
先述した「DXを推進すればECサイトでも対面販売ならではの強みも実現できる」ということは、消費者側にとってのメリットにもつながります。
チャットで商品説明や不満の解決が迅速かつ個別に行われることで、消費者はオンラインでも店舗で接客を受けたときと同等の感覚が得られます。これにより、今までは店舗購入をメインにしていた層に対する購入機会の促進も可能です。
また、DXの推進でCXを最適化すればサイトを通して顧客が求める製品情報の提供がしやすくなるため、顧客のファン化も促進できます。
DXによるCX改善のポイント
DXでCXを改善させるにあたって基本的な手順を踏むだけでなく、あるポイントを意識することが大切です。そのポイントとして、以下の3つが挙げられます。
ユーザーの調査
デジタル技術を活用し、「ユーザーが日常生活の中で何に対して不満を感じているのか?」「どのような商品・サービスを求めているのか」といったニーズの調査を行いましょう。また、CXにおける接点の改善ポイントを明確化するのであればWEBアンケートでユーザーのリアルな声を集めるという手もあります。
ユーザーの情報を把握しておけば顧客に最適な提案がしやすくなり、営業活動が円滑に進みます。
ユーザーに合った手段の設計
ユーザーの調査で得られた情報を元に、手段を設計します。
「価格以上の価値ある体験を提供するにはどのようなアプローチが有効なのか?」「これからどのような商品・サービスを展開すればニーズを満たせるのか?」などを考えながら設計しましょう。
部署の垣根を越えた組織体制
先述の通り、CXは顧客が商品・サービスを購入しようか検討する段階、実際に購入するとき、購入後のフォローまですべての接点における価値が対象です。その性質上、特定の部署だけが取り組んでもCXは完全に改善しきれない可能性があります。
企画・戦略を構築するチーム、商品・サービスの開発チーム、商品・サービスを提案するチームなど部署の垣根を超えて連携しながら取り組むことが大切です。
DXによるCX改善に成功した事例
これまでにどのような企業がDXによるCX改善の成功をおさめたのでしょうか。ここでは、4つの企業における成功事例をご紹介します。
スターバックス
大手コーヒーショップチェーンのスターバックスは、モバイルアプリで事前注文・決済が可能な「Mobile Order&Pay」を導入しています。アプリ上で商品の注文と決済を行い、指定の店舗で商品を受け取ることが可能というサービスです。
このサービスは、ユーザーアンケートを実施した際に多く見受けられた「レジの待ち時間が長い」「いつも店舗が混んでいる」という声により始まりました。顧客のリアルなネガティブ体験を把握したうえでそれに向き合い、デジタル技術の活用で改善したケースとして分かりやすい事例です。
レジに並んで待たされることがなく、会計時の手間も不要というコーヒーショップとしての新しい価値の提供を実現しました。
オリックスバファローズ
オリックスバファローズでは、球団ファンクラブサイト「BsCLUB」を運営しています。チケットの先行購入やメルマガ配信など他の球団にもあるようなサービスに加え、会員同士での交流機能や選手ごとの新着情報を受け取ることも可能なサイトです。
このサイトにおける最大のポイントは、他企業と連携してコミュニティー管理ツールを活用することで、ファンの興味・関心に沿った情報配信を実現したことです。具体的には商品の購入や球場への来場履歴に合わせたキャンペーン情報を発信したり、好みの選手にまつわる情報の提供を行っています。
ファンひとりひとりの情報を細かく分析し、それに合わせた情報配信を行うことは球団のファンクラブとして異例と言えるケースです。
Amazon
近年の大手ECサイトではもはや当たり前となっている、「おすすめ機能」や「口コミ」。これらの機能を業界内でいち早く採用したECサイトがAmazonです。多くの方が認識している通り、おすすめ機能とは自分が購入した商品と同じものを購入したユーザーが他に何を買っているのかを知らせてくれる機能です。一方で口コミは、商品のリアルな使用感を知ることに適しています。
また、Amazonは「Amazon Prime」や「Amazon go」など様々なオンラインサービスを提供しています。これによりユーザーとの接点が増えるため、より多くのデータ収集が可能です。収集した膨大なデータの分析にはコンピュータによる学習を活用し、分析結果をもとにサービス内容を改善するといったサイクルを繰り返しています。
デジタル技術によって短縮された分析〜改善までのサイクルを繰り返し、圧倒的な競争力を維持していることがAmazonの特徴です。
ZOZO
アパレルのネットショッピングにおいては、「数多く存在するブランドごとに公式サイトを見る必要があるため手間がかかる」という点が課題でした。それに対しZOZOは、1つのサイトで様々なブランドの商品を見たり購入したりが可能な仕組みをつくることでCX改善を実現しました。
また、ZOZOのコーディネートアプリ「WEAR」では、投稿されているアイテムの色・形・質感・柄などをAIが学習して類似するアイテムを検出する機能を採用しています。WEAR内で好みのコーディネートを見つけた際、すぐに商品ページを見つけ出せる仕組みも生み出すことで購入機会の促進につなげています。
ハイブリッドテクノロジーズの提供サービス
ハイブリッドテクノロジーズでは、ビジネスデザイン、UIUXデザイン、設計、実装、テスト、リリース、運用、保守まで一気通貫してサービスを提供しております。500名以上の経験豊富なエンジニアにより、迅速かつ高品質なシステム開発が可能です。 アジャイル開発、ウォーターウォール開発、ハイブリッド開発と言った様々な開発手法に対応しており、契約形態に関しましてもラボ型契約と受託型契約の2つから選択いただけます。お客様の状況や開発内容に応じて、開発手法と契約形態を柔軟にご指定いただけますが、それぞれの開発手法、契約形態の特徴の親和性から、アジャイル開発ではラボ型契約が、ウォーターウォール開発とハイブリッド開発では受託型契約を選択されるクライアント様が多数を占めます。
ラボ型開発について: ラボ型開発 サービス
受託型開発について: 受託開発 サービス
ハイブリッドテクノロジーズが選ばれる理由
弊社ではクライアント企業様及びエンドユーザー様の声を聞き、UIUXを意識したビジネスデザインを行なっております。 テーマを決めて分析し、仮説を立ててビジネスデザインを行い、プロトタイピング、検証、フィードバックを受け、再度分析から始める。 この一連の流れを、アジャイルスクラム開発に精通した500名以上のエンジニアが光速で回していくことにより、最速でより良いものを実現していきます。 ハイブリッドテクノロジーズには市場の声を現実にするための仕組みとメンバーが揃っています。
まとめ
「DX」とはデジタル技術を活用し、市場における競争力の向上を目的とした取り組みです。一方、「CX」は商品・サービスの購入前から購入後のすべてでユーザーが体験した価値のことを指します。「競争において自社が優位に立つにはCXの改善が必要ですが、それを実現するために有効な手段がDX」と認識して良いでしょう。ただしDXは一朝一夕に成功させることは困難であるため、ひとつずつ手順を踏んでいきながら適切な戦略を設計することが大切です。