DX推進ガイドラインとは何か?内容と実現のためのポイントを徹底解説!
DXとは?
DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)」の略語です。この言葉の提唱者であるエリック・ストルターマンによると、DXはITの浸透が人々の暮らしをあらゆる面でより良い方向に変化させることであるといいます。
DXには広義的意味もありますが、近年ではDXについてビジネスシーンで用いられることがほとんどです。経済産業省による「DX推進ガイドライン」では、DXとは企業がビジネス環境における急速な変化に対応し、データとデジタル技術を用いて、ビジネスモデルを変革するとともに、業務や競争上の優位性を確立することであると説明されています。
関連リンク:デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは?
DX推進ガイドラインとは何か
DX推進ガイドラインの概要と目的
DX推進ガイドラインはDXにおいて経営陣が抑えるべきポイントを明確にしたガイドラインです。このガイドラインは「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の二部構成となっています。
DX推進ガイドラインの目的は二つあります
・DXの実現、及びITシステムの構築を行う上で、経営者が把握しておくべき事項の明確化
・取締役会や株主がDXの取り組みをチェック、及び管理する上での活用
DX推進ガイドラインの背景
2018年に経済産業省によって発表された「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」では、ITに関係するさまざまな問題が明らかになりました。
DXレポートでは国内の企業が市場で勝ち抜くにはDXの推進が必要不可欠であること、DXの推進を行わなければ競争力が低下することなどが説明されています。また、2025年から年間で約12兆円もの損失が発生すると問題視されています。
DXレポートの発表後、DXを実現するアプローチやアクションについて認識の共有を行うことができるガイドラインの必要性を求める指摘が増え、DX推進ガイドラインが設置されました。
DX推進ガイドラインの構成と内容
DX推進ガイドラインの構成と内容は以下の通りです。
(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み |
1. 経営戦略・ビジョンの提示 2. 経営トップのコミットメント 3. DX推進のための体制整備 4. 投資などの意思決定のあり方 5. DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力 |
(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築 | |
(2)-1 体制・仕組み | (2)-2 実行プロセス |
6. 全体的なITシステムの構築のための体制 7.8. 全体的なITシステムの構築に向けたガバナンス 9. 事業部門のオーナーシップと要件定義能力 |
10. IT資産の分析・評価 11. IT資産の仕分けとプラニング 12. 刷新後のITシステム:変化への追従力 |
構成①DX推進のための経営のあり方、仕組み
DX推進のための経営のあり方、仕組みについて5つの観点から見ていきましょう。
経営戦略、及びビジョンの提示
経営戦略やビジョンを具体的に策定し、ビジネスモデルを構築していくことは、DXを推進していく上で鍵となります。
経営層がDX導入による目的や効果について考えず、「近年、推奨されているようだし、DXを導入しなければならない」といった曖昧な理由で導入してみたところで、DXを効果的に実現することはできないはずです。
DXを導入した経営戦略やビジョンを考える際は、以下の項目に着目してみましょう。
・自社の具体的な経営戦略
・自社のビジョン
・どの事業分野で行うのか
・どのような手段を用いるのか
・新しい価値を生み出すものなのか
経営トップのコミットメント
DXを社内に普及させ、効果を出すためには、組織改革や企業文化・風土などを変える必要があります。経営トップはこれらの変革を部下に一任するのではなく、自ら取り組んでいくようにしましょう。
DX推進のための体制整備
DX推進のための体制整備には3つの項目が含まれています。
・マインドセット
・推進・サポート体制
・人材
各事業部門にデジタル技術を活かしたビジネスモデルを構築するためには、経営層には各社員が挑戦できる場の提供を行う他、それぞれの意思を尊重する姿勢が求められます。
投資家の意思決定の指標
DXを自社に推進させるためには投資家の意思決定の指標も見落としてはなりません。
投資家の関心がコスト面や企業からのリターンにばかり向いていないか、投資家の意思決定の指標はどこにあるのか明らかにしておくことが重要です。
急速な変化への対応力
DXはITやデジタルを活かし、ビジネスにおける急速な変化に対応することを主な目的としています。時代に適した対応を行うことで、生産性向上や競争優位性といったメリットを得られるはずです。
DXを活用したビジネスモデルの変革がスピーディーな対応を可能とするかどうかは重要なポイントといえるでしょう。時代の変化が速く、グローバル化している今日、スピーディーな対応や意思決定などが求められます。
構成②DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
新しいITシステムを構築するには、社内で体制を整えなければなりません。社内で役割分担を行い、各部署で相互連携できるような組織構築を目標にしましょう。また、デジタルやITを得意とする人材を確保することで、DXの効果を最大限得られると考えられます。
体制、仕組み
部門、ないし事業部ごとに個別最適となるようなITシステムを導入しても、DXの最大の目標は達成できないと考えられます。部門や事業ごとにベストな環境を構築すると、システムの連携は複雑なものになります。それ故、会社全体のシステムが複雑化してしまうといえます。
システムのブラックボックス化を回避するには、組織全体でベストな環境を目指すガバナンスが必要です。ベンダー企業に全てを一任することは控えるようにしてください。
また、全社でDXに関する共通認識を掲げることは不可欠ですが、部門や事業部ごとにオーナーシップを与えることも大切です。
実行プロセス
実行プロセスでは、利用しているシステムの状態を把握することから始めましょう。社内のPCやソフトウェア、サーバーなどのIT資産の現状を分析、評価します。
続いて、ビジネス環境の変化にも対応可能なシステム環境のプランニングを行います。自社全体にベストなビジネスモデルを実現するため、不要なシステムやIT資産は廃棄してください。コスト削減に繋がります。
ITシステムの刷新後、社内のビジネスモデル、及び新たな領域のITシステムの導入、利用しているシステムのアップデートの必要性が出てくるはずです。
刷新後のITシステムに対応できるよう、スピーディーに対応できるシステム環境の整備を行ってください。
DXを実現するための方法とポイント
DXを実現するためには、ポイントを抑えておくことが重要です。
DXを実現するためのポイントを見ていきましょう。
関連リンク:DX推進の成功するポイントとは?推進するメリット・課題についても解説
全社的なDXへの意識
現場社員に限らず、現場責任者や経営層の協力もDXの推進には不可欠です。経営層はDX担当の社員に業務を一任するのではなく、DXの導入によって何を実現したいのか、どのような改革が見込まれるのか明確にしておくことが大切です。
DX推進ガイドラインやDX推進指標の徹底把握
従業員に対しても、DXを推進する旨を伝えるだけではなく、それによって期待できる効果なども伝え、関心を持ってもらえるようにしましょう。新規システムを構築するためには、担当者など一部の限られた人だけではなく、組織全体で理解する必要があります。
DXを実現することで、生産性の向上やコスト削減を期待できるでしょう。一方、DXの推進が遅れると、社会変化に対応できない、既存システムの維持管理に高額なコストがかかることなどが懸念されます。
自社のDX成熟度の把握
自社のDX成熟度を常に把握しておくことが大切です。自社のDXの成熟度を把握するにあたり、経済産業省が提供している「DX推進における取締役会の実効性評価項目」の活用がおすすめです。この評価項目を利用することで、自社のDX成熟度レベルやIT技術の導入レベルを確認できます。社内のDX成熟度は憶測で判断するのではなく、実現度を可視化して確認することで、DXを確実に普及させることができます。
また、自社のDX成熟度は確認ができたら完了するものではなく、結果を活かすことが重要です。改善点をリスト化し、社内で抱えている問題を整理するようにしましょう。DX成功事例などを確認し、IT技術を社内にどのように導入すればよいのか参考にしてみてください。
レガシーシステムの状態把握
多くの日本企業がレガシーシステムについて老朽化している、もしくはブラックボックス化しているといわれています。
レガシーシステムが老朽化した状態でDXを進めたとしても、システムがより複雑化し、システム同士の連携が難しくなります。このような事態を防止するためには、レガシーシステムの状態や課題を把握しておくことが不可欠です。
レガシーシステムの状態把握では、以下について着目してください。
・課題解決が可能かどうか
・レガシーシステムと同時に利用する際はシステム連携が取れるのか
現場と経営側の情報共有
DXを社内で普及させるためにはシステムを整備するだけでなく、現場と経営側の情報共有や連携も必要です。
優れた性能のシステムを導入したとしても、現場と経営側で情報共有が円滑に行えていないと、ベストな効果を出すことはできないでしょう。
DXの実現がうまくいかない際に確認すべきこと
DXの実現がうまくいかないとき、どのように対応すべきなのでしょうか。
以下、DXの実現がうまくいかない際に確認すべきことを説明します。
長めのスパンで効果を確かめる
DX推進に関する技術の場合、どの程度の結果を出せているのか事前に試算できます。想定していたよりも効果が出ていない場合には、失敗している可能性もあるでしょう。
ただし、導入直後、もしくは運用段階に入っていない場合、実作業、あるいは実データに入っていないとも考えられるため、長めのスパンで効果測定を行うようにしてください。また、測定は一度のみならず、定期的に行うことが重要です。
社員がシステムを使いこなせているか
システムは導入するだけでは意味がありません。導入後、各社員や現場の担当者が実務において使いこなせているのか確認してみてください。使い心地や不明点の確認など、コミュニケーションを取ることが大切です。
社員や担当者がシステムを使いこなせていない場合、研修や説明を行う必要がある他、導入について再検討が必要になることもあるでしょう。
ベンダーの対応
導入するシステムを選択する際、搭載機能や価格を重視する人は多いと見受けられます。しかし、前述の要素に加えて、ベンダーの対応に着目することも忘れないでください。
優れた機能が搭載されているシステムであっても、マニュアルやサポートが充実していないため使いこなすことができず、失敗してしまうというケースも多々あります。
システムを導入する際はサポート内容や、問い合わせ対応の体制などを確認し、きちんと対応してくれるベンダーかどうか見極めることが重要です。
システムは十分に取り入れられているか・活用できているか
DXの実現には定期的な改善や見直し、対応が必要です。そのため、DXの効果について検証を行うシステムを整え、実際の効果を常に確認するようにしましょう。
DX推進では最適化や効率化といった指標を定め、目標を達成できるように改善や乗り換えが重要です。
まとめ
ITやデジタルによって変化が激しい今日、企業が生き残っていくためにはDXが鍵といわれています。しかし、現状としては中小企業をはじめ、多くの企業が社内においてDXの普及に至っていない状況です。しかし、ポイントを抑えて導入し、改良を重ねることで、自社にとってベストな方法が見つかると期待できます。
社内にDXを導入することは難しいことかもしれません。しかし、DXを導入することで、自社が抱えるさまざまな問題の解決を期待できます。
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