VC(ベンチャーキャピタル)って?ベンチャーへの投資目的やメリットを解説!
ビジネスの場などで「システム開発」とよく耳にはしますが、具体的にどんなことをやっているのでしょうか。本記事では、システム開発の流れや職種などについて解説します。また、システム開発を外注する際の注意点や、成功事例についてもあわせてご紹介します。
VC(ベンチャーキャピタル)って?
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業やスタートアップ企業といった成長の伸びしろが見込まれる未上場企業へ投資を行う組織のことです。英語で「Venture Capital」と表記するため、「VC」という略称で呼ばれることもあります。VCは主に株式に投資するかたちで資金提供を行い、投資先の企業が株式公開へこぎつけたり、M&Aを受けたときに売却して大きな利益を上げるビジネスモデルです。
企業を設立してから間もない起業家や、これから起業を考えている人に立ちはだかる「資金調達」という問題。VCは、そのような問題解決に有効的な手段のひとつとも言えます。
また、出資先の企業に経営参画などのかたちで事業運営をサポートするケースも多いです。資金だけでなく、短期間で成長するためのノウハウも得たいというベンチャー企業・スタートアップ企業には魅力的な存在です。
ベンチャーキャピタルと銀行との違い
資金調達の手段として「銀行から資金提供を受ける」という選択肢もあります。VCも銀行も企業へ資金提供を行うことは共通していますが、両者には以下のような違いがあります。
【資金提供の形式】
VC:投資(返済義務はない)
銀行:融資(主に貸付で返済義務がある)
【利益獲得】
VC:出資先のEXIT時のキャピタルゲイン
銀行:貸付金に含めた利息
【資金提供の基準】
VC:高い成長率が見込める将来性
銀行:返済能力や信用性
上記からも分かる通り、VCと銀行はそれぞれ異なる目的で企業へ投資を行います。詳細は後述しますが、出資先企業が上場したときに得られる利益を目的に出資を行うVCに対し、銀行は貸付金に含めた利息を利益として得るために出資を行うということです。
そのためVCから得た資金は返済義務がなく「資本」とすることができますが、銀行から得た資金は「負債」となるため返済義務があります。
出資をするにあたって、審査が行われることは共通しています。ただしVCは上記の目的から、上場や上場したときの利益が見込めない企業には出資を行いません。一方、銀行は負債を返済する能力を重視して審査を行うため、実績がなく信用性の見えない企業には出資を行いません。
なお、投資というかたちで資金提供を受けることができる「投資銀行」というものもあります。銀行と名がつきますが、投資銀行は資金調達の手数料から利益を得るため融資することはありません。
VCの投資目的
先述の通り、VCが企業へ投資を行う目的は「企業が上場したときに得られる利益」です。未上場の企業に投資を行い、それと引き換えに株式を取得します。その後、投資先が成長した際に株式公開やM&Aによる株式売却など(EXIT)をした結果、当初の投資額と企業成長後の株価の売買差益(キャピタルゲイン)を獲得するということです。
そのため、主に将来的な成長を目指す未上場企業を対象として投資を行っており、実績がなく銀行からの融資を受けられない企業の資金調達先になり得ます。ただしVCはキャピタルゲインによる利益だけでなく、投資を通じた新規事業の育成や、投資先の協業によるコア事業の強化といった事業シナジーの効果を期待する傾向もあります。このことから、成長性に加えて自社の事業内容との関連性が高い未上場企業に投資するケースも珍しくありません。
VCの仕組み
VCは、運営母体や投資家などの出資者から資金を集め、その資金でスタートアップ企業やベンチャー企業といった未上場企業へ投資を行います。それと引き換えに、株式を取得するという仕組みが一般的です。
ベンチャー企業やスタートアップ企業の株式に投資をすることで、投資先企業の成長や上場を促し、株式を第三者や市場で売却することでキャピタルゲインによる利益を得ます。具体的には、投資先企業がキャピタルゲインを得られた際に一定の割合の「成功報酬」を収益として受け取ります。 加えて、運営母体(金融機関や事業会社)や投資家から投資額に対する定率の「手数料」もVCの収益となります。
とはいえ、よく「創業から10年後の生存率は1割に満たない」と語られるように、すべての未上場企業が成長できるとも限りません。また、未上場企業は事業基盤が十分に構築されておらず、売上が不安定な場合が多いため、上場企業に投資するよりも大きなリスクを抱えることになります。
その一方で投資先企業が株式公開やM&Aによる株式売却を実現することができれば、投資金額を大きく上回る利益の獲得が可能です。
VCの投資判断
VCが企業に対して投資判断を行うにあたって重視するポイントは、「将来性を見込める事業であるか」です。市場における成長性やその事業ならではの強み、経営者の能力などを吟味したうえで、将来的にリターンが期待できると判断した企業や起業家に投資を行います。
また、VCは投資先企業に対して今後の経営に対するアドバイスも行うため、経営者と長期的な信頼関係を築くことを前提としています。そのため、経営者の能力だけでなく人間性も判断の基準になることが多いです。
出資時におけるVCの役割
VCは、未上場企業に対して出資を行うことで株主として以下の権利を持つことが可能です。
- 議決権:企業への経営参画、株主総会で議決に参加可能な権利
- 利益配当請求権:企業の利益から、配当金など利益の分配を受けられる権利
- 残余財産分配請求権:会社が解散し、債務などを返済して残った財産の分配を受ける権利
出資先企業が成長しなければ株式公開やM&Aによる株式売却の望みも薄く利益を回収できないため、VCは出資先企業の経営にアドバイザーとして深く関わります。具体的には戦略策定支援・資金提供や資金調達計画の策定支援・株式公開支援・人材支援・営業支援・精神的支援などを行ってサポートします。
出資担当者が出資先企業の社外取締役に就任し、経営の一端を担うケースも珍しくありません。なお、このように出資先の経営に関与する手法のことを「ハンズオン型」といいます。
ハンズオン型の他に、「ハンズオフ型」と呼ばれる手法も存在します。ハンズオフ型とは、出資先企業の自助努力に期待して経営に関与をしない手法です。多くの場合、安定したマネジメントが可能かつ数年後に株式公開が見込める状態にある企業に採用されます。
一方で、VCは未上場企業に対する出資や経営支援だけでなく、有限責任組合員に対して投資資金の運用や回収の役割も担います。有限責任組合員から受けたお金で未上場企業へ投資を行う代わりに株式を取得し、企業価値を向上させたことで得られたキャピタルゲインをリターンとして分配する役割です。VCは有限責任組合員へ適切にリターンを分配させるためにも、出資先企業の市場価値を向上させることに努める必要があります。
ちなみに、株式が買値よりも値上がりした場合は上場企業であれば市場で、未公開企業であれば売却先(取引相手)を見つけて売却することでキャピタルゲインの獲得が可能です。
VCの投資資金について
VCの投資資金は、金融機関や事業会社、投資家または投資ファンドから調達されます。調達した資金を投資する方法は大きく分けて「自己資金投資」と「ファンド投資」の2種類です。これらの特徴について、以下よりご紹介します。
自己資金投資とは
自己資金投資は本体投資とも呼ばれており、VC自身が保有している資金を使って未上場企業に投資を行うことを指します。VCの自己資金から投資を行うため、投資回収期限が明確に設定されないことが特徴です。また、投資の利益をファンドに再投資するなどして投資を継続する「エバーグリーン型」の手法が採用されることもあります。
なお、自己資金投資よりも後述するファンド投資の方が一般的です。
ファンド投資とは
ファンド投資では、VCが無限責任組合員となって投資事業有限責任組合(ファンド)を組成します。有限責任組合員から出資を受け、VCがそのファンドマネジメントを行って未上場企業に投資を行う手法です。
投資回収期限を明確に設けて組合契約を締結しているため、VCは契約期間内に投資された資金の回収が必要です。なお、契約期間の他に「出資約束期間」という期間も存在します。契約期間の終了間際まで投資を可能にすると契約期間内に資金を回収できなくなるため、投資が可能な期間を別途用意しています。契約期間の3〜5年ほど前までを出資約束期間として設定するケースが一般的です。
なお、有限責任組合員は主に金融機関・事業会社・機関投資家・地方自治体などが成り手となります。このうち、機関投資家とは生命保険会社・損害保険会社・年金基金・共済組合・農協など大量の資金を用いて株式や債券によって運用を行う大口投資家のことです。有限責任組合員はあくまで、「投資の成果としてキャピタルゲインを獲得することを目的に資金の運用を委託する投資家」という位置づけです。しかし、VC(無限責任組合員)と共に投資先企業の経営に関与するケースも存在します。
VCの種類
CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
CVCとは、事業会社が運営母体となっているVCのことです。純投資の他に、先進的な研究開発やビジネスモデルを展開する未上場企業の成長により、自社事業へもたらされるシナジー効果を求めて投資するなど案件ごとに目的が異なります。
CVCは事業会社としての性質が強いため、相性によっては非常に有益な経営支援や販路開拓といったサポートを受けることもできます。
事業会社の傘下となっているCVCは数多く存在しますが、中でも以下のCVCは有名です。
- NTTドコモ・ベンチャーズ
- Sony Innovation Fund
- パナソニックベンチャーズ
独立系VC
独立系VCとは、親会社を持たずに独立した資本を有しているVCのことです。同じ「独立系」でも、投資対象となる事業領域・ステージはVCによって異なります。
独立系VCは事業会社などの系列がないため、事業提携を行わず出資に対する値上がり益のみを狙うスタイルが特徴です。これにより、事業のしがらみを気にせず出資を受けられるというメリットがあります。
独立系VCに分類される企業の代表例としては、以下の通りです。
- 日本アジア投資
- 日本ベンチャーキャピタル
- グローバル・ブレイン
- ジャフコグループ
- インキュベイトファンド
金融機関系VC
金融機関系VCとは、地方銀行・メガバンク・保険会社などの金融機関グループを運営母体とするVCのことです。日本国内におけるVCの多くは、金融機関の関連会社が運営しています。
金融機関ならではの強みを活かした事業連携や経営サポートを期待できることが特徴で、資金調達における支援を受けられる場合もあります。
金融機関系として代表的なVCは、以下の通りです。
- DBJキャピタル(日本政策投資銀行グループ)
- みずほキャピタル
- 三菱UFJキャピタル
- 三井住友海上キャピタル
- ニッセイキャピタル
海外系VC
海外系VCとは、海外に拠点を構えるVCのことです。世界全体を投資先としているVCは、豊富な実績やノウハウを活かして積極的かつ大規模な投資を行います。
日本国内のVCよりも非常に大きな規模のファンドを運営しているため、早々に大規模な投資を受けられることが特徴です。
海外系VCとして代表的な企業は、以下の通りです。
- Google Ventures
- Sequoia Capital
- Coral Capital
- 500 Startups
政府系VC
国・地方公共団体・公的機関などが主体となって設立されたVCのことを、政府系VCといいます。主に国内の中小企業に対する支援や産業の活性化を目的としており、他のVCと比べて経営の方向性ついてあまり深く干渉されない傾向にあります。
政府系に分類される代表的なVCは、以下の通りです。
- 産業革新機構(INCJ)
- 産業革新投資機構(JIC)
- 東京中小企業投資育成
- 大阪中小企業投資育成
- 名古屋小企業投資育成
大学系VC
大学系VCは、主に大学や研究機関関連の未上場企業に対して投資を行うVCのことです。大学や研究機関が生み出した最先端の研究・技術の社会実装を目指すベンチャー企業に対し、必要な投資や支援を行っています。
大学系VCとして代表的な企業は、以下の通りです。
- 東京大学エッジキャピタル(UTEC)
- 慶應イノベーションイニシアティブ(KII)
- 大阪大学ベンチャーキャピタル
- 京都大学イノベーションキャピタル
- 東北大学ベンチャーパートナーズ
地域特化型のVC
地域特化型VCは、主に特定の地域における資源利用や産業の活性化を目的に設立されたVCです。地方の金融機関が出資者となってファンドに参加している場合が多くみられます。
地域に密着した事業を展開する企業は、積極的な活用により大きな恩恵を得られるタイプのVCとも言えます。
地域特化型のVCとして代表的な企業は、以下の通りです。
- ハックベンチャーズ(大阪市中心)
- 北海道ベンチャーキャピタル
- 東北イノベーションキャピタル
- DOGAN β(九州)
- 新潟ベンチャーキャピタル
インキュベーター・アクセラレーターについて
VCと類似した組織で、「インキュベーター」や「アクセラレーター」というものもあります。
インキュベーターとは、設立から間もない企業に対して企業や事業の創設をサポートしている組織のことです。事業の成長や企業価値を向上させるため、不足している経営資源や事務・経理に関する経営指導などを行っています。いわゆる「卵」の段階にある企業はVCによる投資が難しいため、まずはインキュベーターにシード段階まで育ててもらい、ある程度成長してからVCが投資するようになる…といった流れになります。
一方でアクセラレーターは、シード段階を過ぎた企業の成長に焦点を当ててサポートを行います。具体的には選考を通過した未上場企業に対して投資を行い、経営ノウハウの指導を通じて事業拡大を図っています。3〜6ヵ月と短期間のプログラムを設定し、急速な成長を促進させるスタイルが特徴的です。
インキュベータ・アクセラレーターとして代表的なファンドは企業は、以下の通りです。
- サムライインキュベート
- インキュベイトファンド
- スカイランドベンチャーズ
- Open Network Lab
- insprout (インスプラウト)
- Mistletoe
企業における資金調達方法は大きく2つ
VCは創業から間もない企業における資金調達方法のひとつですが、他にはどのような資金調達方法があるのでしょうか。
企業における資金調達方法は、大きく「エクイティファイナンス」と「デットファイナンス」の2種類に分けられます。それぞれの具体的な資金調達方法と特徴について、以下より詳しく解説していきます。
エクイティファイナンスって?
エクイティファイナンスとは、企業が新株を発行して事業のために資金を調達することです。融資ではなく資本を増やす方法であることから、「資本」を意味するエクイティという言葉が名前に使われています。VCから資金提供を受ける際、エクイティファイナンスの形式をとるケースが一般的です。
なお、一口にエクイティファイナンスと言ってもその方法は複数の種類が存在します。代表的な方法としては、以下の3つです。
- 株主割当増資
- 公募増資(時価発行増資)
- 第三者割当増資
それぞれの特徴について、次項よりご紹介します。
株主割当増資の特徴
株主割当増資とは新株発行の際にその割当を受ける権利を、既存の株主が保有する株数に応じて付与する方法のことを指します。株主は払い込みを行って新株の割当を受けるか、権利を行使せずに売却または放棄するか選ぶことが可能です。
公募増資(時価発行増資)の特徴
公募増資とは、時価で新株を発行して資金調達を行う方法です。このことから、時価発行増資とも呼ばれています。自社の株価が高いほど少ない発行株で多くの資金を調達できるというメリットがあり、上場企業で使われることが多いです。
第三者割当増資の特徴
第三者割当増資とは、株主であるか否かにかかわらず特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて増資する方法です。自社の株価が低く一般的な増資ができない企業や、取引先・業務提携先との関係を安定させたい企業でよく使われています。
メリット・デメリット
エクイティファイナンスにおける大きなメリットは、原則的に返済期限がないことです。金融機関から融資を受けたときのように期限に追われながら返済を続ける必要がなく、利息も付かないため無駄なく資金を調達することができます。加えて自己資本比率を高められるため、財務体制を強化する効果も望めます。
さらにVCから資金調達をすれば、経営・事業のノウハウを得たり出資を受けることによるブランディングの確立などのメリットもプラスされます。
一方で株式を利用して資金調達をするという性質上、経営について第三者に干渉される可能性があるという点はデメリットです。新株を発行した結果、株主構成が大幅に変わって第三者に経営権が握られてしまい、会社の組織や支配関係に影響が及ぶケースがあります。
また、新株として発行株式が増えれば、それだけ株主にとって一株の価値が薄まります。株主割当以外のエクイティファイナンスでは、既存株主に対して合理的な説明を行って納得してもらう必要があります。
デットファイナンスって?
デットファイナンスとは、企業が金融機関などから資金を借り入れて調達することです。デットとは「負債」や「借金」を意味する言葉で、デットファイナンスにより資金調達を行うと賃借対照表の負債が増加します。
上記の通り借り入れて資金を調達する方法なので、「返済期限や金利を伴う」ことがエクイティファイナンスとの決定的な違いです。
ただし、スタートアップ企業やベンチャー企業は信用力や担保となる資産が不足している場合が多いです。また、成長投資のステージにある事業からのキャッシュフローも安定しない傾向にあるため、ややハードルの高い資金調達方法と言えます。
デットファイナンスの方法も複数の種類がありますが、代表的な方法は以下の通りです。
- 金融機関での借り入れの特徴
- 公募債の特徴
- 私募債の特徴
- 投資家からの融資の特徴
それぞれの特徴について、以下より詳しくご紹介します。
金融機関での借り入れの特徴
デットファイナンスの中でも一般的な方法が、銀行などの金融機関から借り入れをすることです。さらに細かく「プロパー融資」と「保証付き融資」の2種類に分けられます。
プロパー融資では、信用保証協会を通さず金融機関から直接的に融資を受けることが可能です。そのため保証料は不要ですが、手続きに多くの資料が必要になります。
保証付き融資は、信用保証協会を保証人にして銀行から融資を受けるという仕組みです。企業は信用保証協会に保証料を支払う必要がありますが、銀行との取引実績がない企業や担保が不十分な企業も融資を受けられる可能性が高まります。
公募債の特徴
公募債とは社債における形態のひとつで、自社で発行した社債を不特定多数の投資家に買い取ってもらう資金調達方法です。企業が事前に発行金額・期日・利息などを設定したうえで再建を発行し、一般の投資家に売り出します。なお、社債の発行には有価証券報告書や有価証券通知書の提出といった手続きが必要です。
満期一括償還となる場合が多く、金融機関からの借り入れと比較して資金繰りに余裕が生まれやすいことが特徴です。
私募債の特徴
募集人数を50名未満の少数に絞って発行する社債のことを、私募債と言います。私募債は手続きが不要なことに加え、金融機関や信用保証協会などに社債を引きうけてもらえます。 そのため、投資家の公募において不利になりがちな知名度の低い企業に有効的な方法です。
投資家からの融資の特徴
ソーシャルレンディング(融資を受けたい企業と利益を得たい投資家をマッチングするサービス)などを利用し、投資家から融資を受ける方法です。
ソーシャルレンディングではサービスの運営会社が借り手企業の審査を行い、金利・金額・期間などを決定します。一方、貸し手は審査で決まった条件を見て実際の出資額を決定します。
融資を希望する企業は、借りたい金額・企業の情報・事業計画などを運営会社へ開示する必要があり、場合によっては保証人や担保の提出が求められます。
メリット・デメリット
デットファイナンスは株式を利用した資金調達ではないことから、第三者に経営権を握られる可能性がないことが大きなメリットです。融資された資金用途の報告義務もないため、事業の範囲内であれば借り入れた資金を自由に使うことができます。ただし、経営状態が危機的な場合は借入先の金融機関などからアドバイスを受ける場合があります。
ただし、デットファイナンスは融資を受けているため会社の負債が増えることがデメリットです。返済期限だけでなく利息も付き、エクイティファイナンスで資金を調達した場合にはなかった無駄なコストが発生します。企業の経営状況にかかわらず期日通りに返済を行う必要があるため、資金のやりくりも慎重に考えることが大切です。
VCから投資を受けるメリット
設立間もないタイミングでも資金調達できるかもしれない
VCは企業の規模ではなく、ビジネスモデルや事業の成長性から出資の可否を判断します。実績が少なく、金融機関からの融資が難しい企業にとっては大きなメリットです。
「新しい事業のアイデアはあるけれど実績や資金が足りない」という方に適した資金調達方法がVCと言えます。
企業成長を促進させる支援を受けることができる
先述したハンズオン型のVCは、資金だけでなく経営に関する知識・ノウハウや専門的なアドバイスの提供、事業提携先の紹介など幅広い経営支援を受けることが可能です。
提携先については、VCは金融機関・議場会社・機関投資家・地方自治体などと投資ファンドを組成していることから、ファンドの組合員から紹介してもらえるケースがあります。
また、ベンチャーキャピタルは様々な未上場企業に投資しているため、投資先企業での事業提携が提案される可能性も期待できます。
専門的知識とコネクションの活用により、効率的な企業成長が望める点はVCならではのメリットです。
追加出資や借り入れを受ける可能性が上がる
VCから出資を受けることで、「事業計画やビジネスモデルが評価された」という社会的な信用を得られる効果に期待できます。加えて提供を受けた資金により会社の財務状況が改善されれば、金融機関から借り入れを受けやすくなります。
金融機関だけでなく他のVCに出資をしてもらう場合も有利にはたらくため、長期的な資金繰りにおいて大きなメリットと言えます。
VCから投資を受けるデメリット
経営の自由度が下がる
VCから投資を受けることで幅広い経営支援を受けられるというメリットは、同時に「経営の自由度が下がる」というデメリットにもなり得ます。有限責任組合員へリターンを分配しなければならないVCは、投資先企業の価値を向上させることを重視したサポートを行うからです。企業側が意図しないかたちで経営に干渉されると、両者間で意見の対立が生じる恐れがあります。
そのため、VCと契約する際は事前にサポートの内容をよく確認することが大切です。
EXITを迫られる
VCは出資者と組合契約を締結し、ファンドを組成して投資を行います。その後、契約期間が終了するまでに投資資金を回収してリターンを配当しなければなりません。このような事情から、投資を受ける企業はその期間内にEXITを達成することを迫られる傾向にあります。
とはいえ、VCから投資を受ける際に双方で合意した計画の通りに事業が推進していれば問題ありません。一方で事業が計画通りに進まなかったり遅れたりする場合、EXITの時期を意識したVCからサポートを受けつつ事業を進める中でプレッシャーを感じることでしょう。
どれだけ経営に干渉するかはVCによって異なりますが、いずれにしても上記の可能性を想定して投資を受けるべきです。
早期資金回収のリスクがある
業績の悪化や競争率の高い競合他社の出現などにより、VCから「将事業に来性が見いだせなくなった」「株式公開の可能性がなくなった」と判断された場合は早期に資金回収が行われる可能性があります。早期資金回収の方法としては、投資先企業の関連する事業を手掛ける企業とM&Aによって投資額を回収するやり方です。
早期に資金が回収されたら、当初に予定していた計画が実現できないだけでなく事業を継続させることすら困難になります。
(「ベンチャー 投資」対策ページを公開したら、リンクを設置)
VCから出資を受ける手順
資料を提出する
VCから出資を受けるには、必要書類を提出したうえで査定・審査を通過しなければなりません。必要書類の種類はVCによって異なる場合がありますが、一般的には以下のような資料が求められます。
- 事業計画書
- 決算書
- 財務申告書
- 株主名簿
- 役員経歴書
- 組織図
- 登記簿謄本
- 資金繰表
- 定款
- 会社案内やパンフレット
特に「事業計画書」の内容はどのような投資ケースでも査定の決め手となるため、作成・修正に力を入れて臨みましょう。
査定を受ける
必要書類の提出後、査定が行われます。書類の内容以外にも、VC側が独自に行った市場動向調査や事業計画書の妥当性調査、会計士による財務調査などを元に出資をするか否かの判断が下されます。
出資が決定した場合、VCから企業へ「現状の企業価値」「株価の設定金額」「出資額」などの条件とともに出資契約書が提示されます。
審査を受ける
査定・契約の合意が済んだら、あとはVCが投資家を集めて行う審査会の結果を待つのみです。審査会で投資家の合意を得て、ようやく出資が正式に決定します。審査会にかかる一般的な期間は、1〜2ヵ月程度です。
VCと出会うには?
VCに直接連絡する
インターネット検索でVCを探し、電話・メール・WEBサイトの問い合わせフォームからコンタクトをとる方法です。そこで自身で作成した事業計画書を直接送り、アプローチを行います。
手軽な接触方法ですが、それだけにその他大勢の起業家や経営者が選ぶ手段でもあります。そのため、必ずしもVCから返答がくるとは限りません。
ただしVCによっては起業家や経営者向けの面談会を定期的に実施しているところもあるため、積極的に参加すると良いでしょう。
知り合いからの紹介
知り合いの起業家や経営者からVCを紹介してもらう方法です。知り合いがすでに投資を受けているなどVCとのつながりを持っていれば、個人で連絡をするよりも高い確率でVCと会うことができます。
また、紹介してくれる知り合いからVCの特徴や投資の方針、メリット・デメリットに感じたことなどの情報を聞いても良いでしょう。事前に詳細な情報を教えてもらったうえで、投資を打診するか否かを慎重に検討することができます。
イベントに参加
近年は起業家支援のためのイベントやピッチコンテストが盛んに実施されています。特にピッチコンテストで事業のアイデアや計画が高く評価されれば、VCから自社に興味を持って声をかけてもらえたり、その場で投資が決定したりすることもあります。
また、イベントやコンテストの中で起業家仲間を増やせる可能性があることもメリットです。
VC・企業・大学・金融機関・地方自治体など様々な組織が主催として開催しているため、情報収集のうえで積極的に参加してみることをおすすめします。
金融機関からの紹介
VCと関係を持つ金融機関から紹介してもらうという方法です。先述の通り、VCの中には金融機関を運営母体としているところも多いです。事業内容に共感し、将来性があると判断されれば紹介をしてもらえる可能性があります。
ただし、金融機関としては優れた事業のアイデアや将来性が見込めない企業を紹介することで、信用を低下させるリスクを抱えることになります。そのため、事業内容を十分に固めて高い将来性をアピールできるようにするなどの入念な準備は必要不可欠です。
VC以外の選択肢
実績やコネクションが不十分なスタートアップ企業やベンチャー企業にとって、VCは有効的な資金調達方法です。とはいえ、VCから資金調達を受けるには厳しい審査を通過する必要があり高いハードルが立ちはだかります。
スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達を行う方法はVCだけに限らないため、他の選択肢に目を向けたうえで自分にとって適切な方法を選ぶと良いでしょう。
なお、投資においてはVCや投資家だけでなく、投資サービスを実施している企業から受けることも可能です。例えば当社「ハイブリッドテクノロジーズ」では、デジタルプロダクトを開発してきた経験を活かして投資・開発の複合的なリソース提供というかたちで企業への投資を行っています。
ハイブリッドテクノロジーズの提供サービス
多くのスタートアップ企業に挙げられる主要な課題は、資金調達の難航や社内リソースの枯渇やその他企業とのネットワーク不足です。ただ、それらを解決するための情報や手段の確立は容易ではありません。
当社は、創業から累計290社のデジタルプロダクト開発の実績をもち、日本とベトナムのリソースを融合させて顧客のDXを支援するハイブリッド型サービスを展開しております。
本事業は、当社、投資先会社の双方の事業シナジーが最大化されることを目的に運営しております。
初期のMVP開発、成長期におけるプロダクト開発を当社のリソースを提供させていただきながら、ワンストップで対応することをお約束します。
ハイブリッドテクノロジーズが選ばれる理由
当社が運営する「Hybrid Technologies Capital」では資金だけでなく、プロダクト開発経験をもとに優秀なエンジニアチームを直ぐに組成することができるため、スタートアップで重要な開発のスピードアップを実現することが可能です。また、ファンド償還期間も設定していないため、長期目線でハンズイフのスタイルでスタートアップのサポートをさせて頂きます。
まとめ
VC(ベンチャーキャピタル)とは、スタートアップ企業やベンチャー企業へ投資を行って成長を支援する会社のことです。実績や資産が不十分なために融資を受けることができず、事業アイデアを活かせない起業家にとっては有効的な資金調達方法のひとつと言えます。その一方で、審査落ちにより投資を受けられない可能性があることも認識しておきましょう。なお、投資はVCや投資家だけでなく当社「ハイブリッドテクノロジーズ」など投資サービスを実施する企業から受けることも可能です。ご自身にとって適切な方法で成長のための資金を調達しましょう。