DX推進の成功するポイントとは?推進するメリット・課題についても解説
DXとは
DXとは「 Digital Transformation 」を略した言葉で、直訳すると「デジタルによる変革」となります。スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した、IT技術を活用して人々の生活を豊かにするという概念です。
ビジネスシーンにおいてもDXは注目を集めており、経済産業省も国内企業の「DX化」を推奨しています。ただ既存のアナログなシステムをデジタルへと移行する「IT化」と混同されがちですが、IT化を経て業務の効率化や競争力の向上など企業のあり方そのものに変革をもたらす取り組みがDX化です。
以下の記事では、DXについてより詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
DX推進の必要性
経済産業省より推奨されていることもあり、DXの推進を検討する企業は着々と増えています。何故そこまでDXが注目されているのかご紹介します。
グローバルでの競争力を高めるため
デジタル技術を導入することで業務効率化による生産性の向上が期待できるだけでなく、既存のサービス・製品を改善しやすくなります。
また、デジタル技術を活用した新たなビジネスの創造も可能です。例えばトヨタ自動車が提供している車のサブスクリプションサービスは、DXによる新ビジネス創造の例として挙げられます。
DX化を進めることで既存ビジネスの改善・新ビジネスの創造が可能となり、国内だけでなくグローバルな観点からみても他企業と差が付く競争力を備えることができます。
既存システムの老朽化に対応するため
導入から長い年数が経ち老朽化したシステム、「レガシーシステム」を抱える国内企業は少なくありません。経済産業省より公表されたDXレポートでも言及されていた通り、多くの国内企業が2025年までにレガシーシステムから脱却できずにいる状況が続けば、最大で年間12兆円もの経済損失が生じると想定されています。
レガシーシステムから脱却するには、DX化に伴う既存システムの見直しが必要です。無駄な機能の排除などを行えば処理能力が向上し、生産性を高めることにもつながります。
DX推進が進みにくい課題とは?
既存システムの見直しが困難な状態にある
先述の通り国内企業の多くがレガシーシステムを抱えており、DX化による既存システムの見直しが推奨されています。しかし古くからある大規模なシステムの場合、機能の追加・
改修、アップデートなどが重なりシステムが複雑化したことで見直しが困難になるというケースもあります。
また、システム管理を担当していたエンジニアやベンダーなどが自社から抜けてしまっている場合も同様の問題に直面することでしょう。
まずは少しずつ既存システムに関する調査を進めて把握を行い、そこから見えてくる問題を整理したうえで対策を講じる必要があります。
デジタルに特化した自社の人材不足
ベンダー(IT製品を販売する会社)にシステムの開発や運用を委託する企業も多いですが、長期間にわたり「ベンダー任せ」な状況が続いているとデジタルに特化した自社の人材が不足してしまうという状況に陥ります。
また、社内のシステムについて深く理解したベンダーでなければ、的確かつ積極的なデジタル改革の提案は期待できず、老朽化した既存システムからの脱却は難しくなる可能性があります。
デジタルに特化した人材を自社で確保できない場合、システムの開発や運用をベンダーに依頼することはDXを進めるうえで有効な手段の一つです。それに伴う上記のような問題を回避するには、レベルの高いベンダーへ依頼したうえで、経営層からの強いコミットをベンダーに伝えてシステムの改革を進めていきましょう。
そもそも何をするべきか分からない
DXを進めるにあたって、「具体的に何をするべきなのか?」「何から手を付ければ良いのか?」と疑問を抱える企業が少なからずあることも事実です。プロジェクトの進め方が分からなかったり、どんな技術を活用すれば良いのか分からない企業はスタートの時点で躓いておりDXが思うように進みません。
その場合、必要に応じてベンダーなど外部のパートナーを積極的に活用してその知識や技術を借りることが大切です。
また、「DX推進の先で何を実現したいのか」「何を目的にDXを推進するのか」といったビジョンをできる限り明確にしておくと、より計画を立てやすくなります。このように企業そのもののあり方や経営戦略といった領域に踏み込むためには、当然ながら経営層の積極的なコミットも必要です。
DX推進のメリット
業務の生産性や正確性が向上する
DXを導入すれば、生産性や正確性が大幅に向上する点は大きなメリットと言えます。
従来は紙媒体や人の手といったアナログな方法で進めていた業務をデジタルに移行のうえ最適化すれば、作業時間や人件費を抑えられるだけでなく、人為的ミスのリスク回避も可能です。
これにより、従業員は重要度の高い業務の遂行に集中できるため生産性の向上が期待できます。
また、DXを推進させることでテレワークの導入や定時退社がしやすくなり、従業員にとって働きやすい環境が整います。労働環境が改善されれば、業務におけるパフォーマンスの向上効果も得られることでしょう。
BCP対策として有効な手段となる
BCP対策とは、災害やシステム障害といった緊急事態が起きた際にも被害を最小限に抑えながら事業を継続するための計画を指します。
分かりやすい例としては、新型コロナウイルスが流行し始めた際、すでにDXが進んでいる企業はスムーズなテレワークへの移行を実現させました。
DX推進でデジタル技術を用いた業務の最適化・効率化ができていれば、不測の事態に陥っても柔軟な対応で事業を安定的に継続することが可能です。業務の中断を余儀なくされる状態になっても、早期の回復と再開がしやすくなります。
老朽化した既存システムからの脱却
先述の通り、長い年数に渡り使用してレガシーシステムと化してしまった既存のシステムは、度重なるアップデートで複雑になるだけでなく、仕様に関して不透明さが増していき最適な運用が難しくなります。
レガシーシステムを抱え続けていれば、生産性の向上も見込めないうえに無駄な維持費もかかってしまうというデメリットも被ります。さらにこれらの扱いを熟知した従業員が年数の経過とともに抜けていけば、システムの深刻なブラックボックス化から逃れることはできません。
DX推進に伴い、レガシーシステムの見直しと改善点の洗い出し、それに基づいた最適化を行えば、上記のようなデメリットを回避できます。
「業務の生産性向上」「BCP対策」「レガシーシステムからの脱却」の3つは、企業の競争力を高めるにあたって重要な役割を果たす要素です。しかしこれらをすべて満たしている企業は多くありません。その中でいち早く行動してDXを推進すれば、企業の競争優位性をより効果的に担保できることでしょう。
DX推進に取り組む上でのポイント
DX推進の目的を明確にする
何故DXを推進するのか、という目的を明確にしなければDXの効果は期待できないだけでなく、最適な戦略を策定できなくなってしまいます。
また、定めた目的を従業員へしっかりと共有して理解してもらうことも重要です。従業員が新システムを使いこなせなかったり、新しいビジネスモデルに抵抗があり業務のパフォーマンスが低下してしまってはDX推進の意味がありません。
経営層と従業員の間でDXに対する意識のギャップを埋められるよう、DX推進の先に見据える目的の理解を求めたうえで新システム導入後のフォローにも努めましょう。
既存システムからの移行
DX推進において必須ともいえるステップは、既存システムからより良いシステムへの移行を検討することです。
ただしどのようなシステムを導入するべきかは、DX推進の目的によって異なります。ただ最先端の技術だからという理由だけで新たなシステムを導入しても、大きな効果は望めないため注意しましょう。
また、いきなり全社的にシステムを刷新するのではなく、デジタル技術との親和性が高いバックオフィスなどから少しずつ反映していくことをおすすめします。
DXが確実に推進されるための体制を構築する
DXを進めるにあたり、主体的に取り組みを続けるDX推進専門チームや適切な人材の配置は必須です。通常業務との並行は時間がかかるだけでなく、成功する可能性も見込めないため避けましょう。
社内に適した人材がいない企業や、客観的な視点からのアドバイスが欲しい場合はDX戦略の策定を支援してくれる外部サービスの利用もおすすめです。
経営層のコミット
DX推進は、現場の働きだけで成功をおさめられるものではありません。DXを構築するための体制や戦略の策定、現状の把握といったすべての動きは経営層のコミットなしでは成しえないからです。
DX推進によりビジネスへどのような変革をもたらすのかを経営層から明確に共有し、現場との意思疎通を図りながら社内全体の意識を変えていきましょう。
なお、DXはすぐに効果が現れるわけではありません。数年がかりの取り組みになることも見据えながら、経営層のリーダーシップのもと、社員が一丸となって中長期的な視線で進めていくことが大切です。
DX推進の手順
DX推進の目的を明確にする
すべての取り組みは「目的」という基礎がなければ思うように進みません。最大の目的は業務の効率化なのか、新ビジネスの創造であるのかなどによって、その先選択するべき手段が異なるからです。
まずはDXを推進する目的や、推進した結果企業にどのような変革をもたらしたいのかというビジョンを明確に定める必要があります。
DX推進の意識を共有する
最初に定めた目的やビジョンに基づき、「DXを推進する」という経営層の意思表示を行います。企業のあり方そのものに影響する取り組みであるため、意識の共有がしっかりとできていなければ経営層と現場の間で摩擦が生じる恐れがあるからです。
経営層がDX推進の先に目指す未来と得られるメリットを分かりやすく示したうえで、そのビジョンと現状の間にあるギャップを埋めるための戦略を社内で議論するという流れを作りましょう。
DX推進体制を構築する
DX推進について社内で共有できたら、推進を担当する部署やチームの新設、予算の確保などを行ってDXを推進するための体制を構築します。DXを主導するプロデューサーやその補佐、データ分析を担うデータサイエンティストなど適切な人材を配置していきましょう。
自社内に適した人材がいない場合は、社内でDX人材の育成を進めると共に外部への委託や社外にいる人材のヘッドハンティングなどでカバーすると良いでしょう。
DX推進計画を立てる
DX推進を担う部門を中心として、現状の把握や解決するべき課題を洗い出したうえで目的を達成するための計画を立てていきます。
なお、最初に計画を立てることから始めた結果、DX化に失敗してしまうというケースはよくあります。例えば「最先端のツールを導入すること」だけに集中しても、企業に大きな変化をもたらすことはできません。「変革につながる計画は明確な目的とビジョンがあってこそ」という意識を持ちましょう。
DX推進計画の実行
目的やビジョンを軸とした計画を立てたら、いよいよ実行に移ります。システム構築や新しいツールの導入を進めていきましょう。しかし推進の途中で予期せぬトラブルや状況の変化がみられた場合は、当初の計画にとらわれ過ぎず目的やビジョンがブレない程度に計画の練り直しなどで対応します。
DX推進のための準備
目的やビジョンに基づいた経営戦略
明確な目的やビジョンを設定せずにDXを推進しようとしても、失敗に終わる可能性が高いです。その場の思い付きで実行を試みても、無駄なステップを踏みやすく社内全体が疲弊してしまいます。
DXという大きな枠組みの中で、自社が理想とする経営を実現するために取るべき手段は多岐にわたります。課題の解決に絞って戦略を立ててみると、思いのほかシンプルな取り組みで実現可能なケースもあるため、最初に目的やビジョンを設定することから始めてみましょう。
まずは経営層と現場の間で入念にコミュニケーションを取り、DX推進の目的やDX推進の先に見据える企業像を定めて戦略を立てていくことが重要です。
経営層のコミットメント
DXを推進するにあたって担当チームが中心になって動くことになりますが、経営層が現場へ丸投げしているような状況は望ましくありません。
従来では当たり前とされていた環境の変化に対し、素直に受け入れることができない従業員も出てくることでしょう。その対応も担当チーム任せとするのではなく、経営層がしっかりとコミットすることが大切です。
DX推進からどんな価値を生み出したいのか、将来的に自社にどんな変革をもたらしたいのかなどについて、経営層から社内全体へ発信しましょう。また、DX推進に伴う問題が発生した場合は解決への後押しをしてあげる必要もあります。
DX推進のために体制を整える
DX推進を確実なものとするには、以下の要素を踏まえた体制を事前に整えておく必要があります。
①マインドセット:「仮説・実行・検証」のサイクルをスピーディーに回しながら徐々に成功へと近づけるというマインドセットを経営層が醸成していく。
②推進・サポート体制の準備:DX推進の障壁となる問題に直面しても、スムーズに解決ができるような体制を整える。
③人材の確保:デジタル技術の活用に特化した人材を、社内または外部から確保のうえ担当チームへ割り振る。
④予算の確保:損失を過剰に恐れず、未来への投資という側面もあることを意識しながら予算計画を立てていく。
DX推進が失敗した場合に見直すべきこと
事前の試算と現状の乖離について精査する
DX推進を計画する時点で、効果や結果をどの程度出すことができるのかを事前に試算する場合がほとんどのはずです。試算よりも明らかに効果や結果が薄いとみられる場合、DX推進は失敗していると考えましょう。
その場合は試算の時点で期待されていた効果や結果と現状がどれくらい剥離しているのかを精査し、問題を特定します。
ただしDXの導入直後や本格的な運用段階に入っていない場合は実データや実作業に適用されていない可能性を考え、やや長めのスパンで効果を測定するべきです。
マニュアルやベンダーのサポートは十分かを確認する
DX推進に伴い新しいツールを導入しても技術を使いこなせず、未だ実務で運用段階に入ることができていないというケースもあるため、マニュアルはしっかりと作成しておきましょう。そのうえで、導入後は実務担当者に実際の使い心地をヒアリングしながら調整を行っていくことをおすすめします。
マニュアルを作成してもなお実務に支障があったり、明らかにベンダーのサポートが不十分と判断できる場合は、ツールやベンダーの乗り換えを検討しても良いでしょう。
効果を検証する仕組みは整っているかを確認する
DXの技術に問題がなく、導入から運用段階までスムーズに運んだとしても、適切な仕組みが整っていなければせっかく現れた効果も認識できません。
また、DXは技術を導入した後も定期的に効果を検証したうえで、更なる効率化や最適化を目指して何度も改善を重ねていくことが必要不可欠です。そういった運用は適切な仕組みによる効果検証があるからこそ成り立つため、作業体制や業務の流れを一度見直してみましょう。
DX推進(デジタイゼーション・既存業務効率化)に便利なツール
DX推進に役立つツールの種類は様々ですが、目的にあったものを選ぶようにしましょう。ただ「人気だから」など安易な理由で選んでしまっては、十分な効果が発揮されません。
また、DXはただツールを導入すれば良いということではありません。目的に合ったツールを選ぶことはもちろん、どのように活用して目的を達成するのか、どのように運用するのかを社内で検討したうえで使いこなせるようにしましょう。
ここでは、既存システムをデジタル化するにあたり、便利なツールの種類をご紹介していきます。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムとは、従業員に関する情報をデータベースにて一元的に管理し、人材配置や育成など人事的な戦略に活かすシステムのことです。
タレントマネジメントシステムを導入することで人事業務の効率化が期待できるだけでなく、人事戦略における課題の迅速な抽出や従業員エンゲージメントの向上といった効果も得られます。
有名なサービスとしては、「HRBrain」「カオナビ」「タレントパレット」などがあります。ツールによって詳細な得意分野や料金プランなどは異なりますが、いずれにしても人事業務プロセスのデジタル化を進めるうえでは欠かせない存在です。
RPAシステム
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、パソコンによる業務プロセスや作業を自動化する技術のことです。具体的には、データ入力や転記、ファイルの複製など単純な作業の提携業務を自動化してくれるツールとなっています。
AIと少し似ていますが、RPAは製作者が設定したルール通りに働くためAIのように自身で判断しながら業務をこなすわけではありません。そのためRPAは判断にブレがなく、単純作業を高精度にこなすことを得意としたツールです。
RPAシステムを導入することで、業務の効率化や人的コストの削減、定型業務の正確性が向上するといったメリットが得られます。
有名サービスとしては、「WinActor」「UiPath StudioX」「BizRobo!」などがあります。
BIツール
BIとは「Business Intelligence」の略で、ビジネスにおける迅速な意思決定をサポートするツールのことです。具体的には膨大なデータから必要な情報を引き出し、経営や売り上げ拡大の利用を目的に分析・レポーティングするという役割があります。
BIツールは主に経営・財務・営業・売上・人事データ分析やデータ集計、帳票作成などに用いられており、非常に幅広いシーンで活躍しています。
日々増えていくデータをExcelなどで手集計する必要がなくなるため、導入すれば迅速に事業の現状を把握できることはもちろん、現状の背後に潜む様々な課題や精度の高い意思決定が可能になるという点がメリットです。
有名なサービスは、「Google データポータル」「Tableau」「Domo」などがあります。
こちらでご紹介したものも含め、ツールの導入は導入のスピードやコストにおいて優れています。一方で、既存のツールは自社の目的や課題に対してカスタマイズし辛いことが多く、結局現場で有効活用してもらえないというリスクがあるのもまた事実です。
自社の課題ややりたいことに対して、ツールの導入を検討した上で、もしフィットしないと感じた場合は新しく開発を行うほうが結果として良いこともあります。両軸で検討を進めるのが最も有効でしょう。
DX推進(デジタライゼーション・新たな価値創造)に便利な考え方・フレームワーク
DX推進の効果が薄い、または効果がまったくみられない…という失敗例の多くは、戦略の裏付けとなるデータ収集や分析、検証を行わずに企画段階へと進んでしまっていることが原因です。そういった企業の多くが「DX推進」そのものを目的としている傾向にあります。
DX推進はあくまでデジタル技術による新たな価値を創造するための手段です。どんな価値をどうやって創造するか?という戦略を、収集したデータに基づいてまず最初に考えていく必要があります。
とはいえ、何から・どうやって考えていけば良いのか分からずなかなか戦略を立てられずにいる方も多いことでしょう。ここでは、DX推進により生み出す価値の「描き方」とも言える考え方やフレームワークの例をご紹介していきます。
リーンスタートアップ
時間やコストをかけて新たなサービスを作ったとしても、そのサービスが成功する保証はどこにもありません。特に資金や人材が限られているスタートアップ企業の場合は、いかにリスクを最小化しながらサービスの成功率を上げていくかが重要になります。そこでおすすめな手法が、リーンスタートアップです。
まずは特定のサービスや製品を必要としている顧客を仮定し、そのニーズに応える新規事業を考えます。その考えをもとに、最小限のコストでサービスや製品を開発します。
次に開発したサービスや製品を特定の人々へ試験的に提供し、その反応を計測。計測結果を参考に、より顧客へ受け入れやすいものになるよう改良を重ねていきます。
事業の「構築」、反応の「計測」、結果を参考とした「学習」。リーンスタートアップは、この3ステップを繰り返しながらサービスや製品を完成に近づけていくという手法です。
デザイン思考
デザイン思考とは、顧客の潜在ニーズを正確に捉えたうえで社会にイノベーションを起こし、新たな価値を創造する手法のことです。
顧客が抱えている課題点についての仮説を立て、その課題を解決するためのアイデアをできるだけ多く出し合います。そして、特に有効であると考えられるアイデアをもとにサービスや製品を気軽に試作し、ユーザーテストでニーズにマッチしているかを確認します。この手順を繰り返し、ユーザーの声を拾いながら改善を重ねていくという手法です。
デザイン思考は、社員たち一人一人がアイデアを思考・提案するという取り組み方がポイントです。顧客の潜在ニーズにマッチするビジネスを生み出せることはもちろん、社員の思考力やチームにおける結束力の強化にも期待ができます。
アジャイル開発
アジャイル開発とは、しっかりとプロセスを設計してから作業に取り組む従来の手法よりも短期間でシステムを開発することができる手法です。設計・開発・実装・テストのサイクルを繰り返し、1サイクルごとにクライアントのフィードバックを貰いながら改良を重ねていきます。
プロセスを詳細に決めず、現場でコミュニケーションを取りながら開発を進めていくため、開発期間の大幅な短縮につながるだけでなく急な仕様変更へ柔軟に対応することも可能です。
また、課題の抽出や施策の検証を高頻度で繰り返すアジャイル開発であれば、DXはスピーディに進むことでしょう。
まとめ
DXとは「デジタル技術を活用して人々の生活を豊かにする」ことを指し、ビジネスにおいては企業の競争力を高めるために重要な取り組みであると注目を集めています。しかしブラックボックス化した既存システムからの脱却や、ベンダーへの依存などの課題が立ちふさがり、DXが思うように進まない国内企業も多いです。DXを進めるうえで大切な手順を再度確認しながら、自社の課題と向き合い対策を講じていきましょう。