2020/10/19ブログ
デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは?
デジタル・トランスフォーメーション(DX)を一言でお伝えするなら、『IT 技術を活用する事で、人々の不便を無くす、生活を豊かにする』、そして『新しい関係性を作り続ける』 となります。
その背景と海外での取り組み、国内での取り組みを、事例を交えて説明をさせて頂きます。
・『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』への関心
デジタル庁が新設されることになり、『デジタル化』や『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』という言葉を目にしない日が無いように思います。

海外では、
新型コロナ禍を背景に、デジタルシフトが加速しています。
会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)によると、リモートワークや工場の自動化といったテクノロジー投資のために、既存事業の一部を他社に売却し、売却で得た資金をもとにデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進を進めると回答した企業が56%にも達したとの報告がされました。
『デジタル』の対極で、『アナログ』の代名詞でもあった、『新聞』というメディアもデジタル化に大きく舵を取る動きがあります。
アメリカの新聞社『ニューヨーク・タイムズ』は、『紙』と『電子版』の両方を提供するスタイルを、20年後には『電子版』のみで配信するデジタル化を行うことと、そのための人材や設備に投資することを発表しました。
国内では、
『デジタル庁』が新設され、これまで省庁間が独自に構築・運用していたシステムを、一元的に把握する動きが本格化してきています。
このように、『デジタル化』や『デジタル・トランスフォーメーション』という言葉を聞かない日がないくらい最近のトレンドワードになっている実感があります。
企業のデジタル・トランスフォーメーション化を進める当社においても、様々な打ち合わせの席で、これらのキーワードが日常的に出てきています。
・『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』ってなに?
最近、お客様とのお打合せで頂く質問で最も多いのが、『ところで、デジタル・トランスフォーメーションってなんですか?』という質問です。
それもそのはずで、『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』という言葉の定義や捉え方は、会社や国によって異なっていることに起因しています。
この記事をご覧頂いている方の多くも、検索ワードで『デジタル・トランスフォーメーションとは』と検索されたのではないかと思います。
『デジタル・トランスフォーメーションってなんですか?』と質問を受けた際に、私たちがどのようにお伝えしているかを紹介させて頂きます。
■ デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、『IT 技術を活用する事で、人々の不便を無くす、生活を豊かにし、新しい関係性を作り続ける』こと

『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』って、具体的になんですか?』
この質問に対して、
1.『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』の生い立ち
『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』の提唱者である、エリック・ストルターマン教授(現・インディアナ大学工学部上級副学部長)の言葉から説明に入らせて頂いています。
『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』の提唱者であるエリック・ストルターマン教授が、スウェーデンのウメオ大学で教鞭をとっていた2004年に発表した論文、『INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE(邦題:情報技術とよりよい生活について)の中で、『全ての人々の暮らしをデジタル技術で変革していくこと。』として、『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』という言葉を使われました。
同氏の言葉を簡単にまとめると、
・
『IT 技術を活用することで、人々の不便を無くす』
・
『IT 技術を活用することで、人々の生活を豊かにする』
上記のようにまとめられます。
2.コロナ禍における日本国内での『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』の推進
『デジタル庁』新設の話を紹介しましたが、この『デジタル庁』新設の背景には、新型コロナウイルス感染症拡大が大きく関係していると言われています。
背景には、
(『10万円の給付』の申請から受給に至るまでの時間の課題)
政策で国民一人あたり10万円の給付がきまりましたが、地域によっては、書類申請から現金給付までに1ヶ月以上の時間を要しました。
(書類出したけど、いつ入金されるの?と感じた方も多くいたと思います)
(『PCR 検査の結果を受け取るまでの時間と手間』の課題)
PCR 検査の結果集計が、当初FAXでされていたというニュースをみて、言葉を失った方も多くいたと思います。

医療従事者は、PCR 検査の結果を病院の端末に入力しますが、集計用とFAX用にも検査結果を書き起こす必要があります。そのため、2倍の手間と時間がかかりました。
さらに、それらの情報を受けた対策本部も、送られてきたFAXをもとに発症者の集計を行う必要がありました。
余談ですが、当時官房長官であった菅現首相は、『なぜこんな当たり前のころができないのか』と何度も嘆いたと言われています。
もし、新型コロナウイルス感染症拡大の前に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)対応が出来ていたらどうなっていたでしょうか?

(『10万円の給付』の申請から受給に至るまでの時間の短縮)

マイナンバーカードの情報と納税時の銀行口座が紐づいていれば、10万円の給付が決定した直後に、国民全員の口座に給付。
さらに、書類を作成したり、記入した書類をポストに投函したりするなどの時間と費用も不要になります。
これをエリック・ストルターマン教授の言葉に置き換えると、『IT 技術を活用することで、人々の不便を無くす』に該当します。


(『PCR 検査の結果を受け取るまでの時間と手間』の解消)
医療従事者の方が、検査結果を病院の端末で入力すると、その情報は、リアルタイムで各行政の対策本部に送られ、市民もWEBサイトからリアルタイムで状況を把握することができます。
これをエリック・ストルターマン教授の言葉に置き換えると、『IT 技術を活用することで、人々の生活を豊かにする』に該当します。
(デジタル化で『時間』という資産を無駄に使わなくて良くなった)

3.『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』を用いて、『閉じられたシステム』から『開かれたシステム』へ
先の事例など元に、『デジタル・トランスフォーメーション(DX)って、具体的になんですか?』という質問に対して、当社では、
『企業や従業員、お客様が抱える課題(不便)に対して、IT 技術を活用することで解決し、新しい関係性を作り続けること』とお答えしております。
この説明を聞いて、
IT 技術の活用が『デジタル・トランスフォーメーション(DX)』であれば、当社も様々なIT システムが入っていると思う方も多いと思います。
しかし、デジタル・トランスフォーメーション(DX)において、IT システム化を行う事だけではなく、大切なことは、
『新しい関係性を作り続ける』というところです。
(『新しい関係性を作り続ける』とは?)
『デジタル庁』新設の背景に関連しますが、各省庁も様々なIT システムが入っており、各省庁で働く職員の業務遂行に適した仕様になっています。業務遂行を前提としたシステムなので、『外からのデータ』を取り込む必要性がなく、『閉じたシステム』となっています。
仮に各省庁のIT システムが『閉じたシステム』ではなく、『開かれたシステム』だったと仮定します。

『開かれたシステム』のため、PCR 検査の結果がリアルタイムで反映され、件数だけでなく、市区町村レベルで把握でき、それらのデータをWEBサイトからリアルタイムで市民が見ることができます。
また、ショーシャルネットワーク(SNS)や携帯電話の位置情報を集計したデータ、各企業が発表した情報をデータ化し、現在の感染者数と組み合わせて分析した際に、どのエリアで今後、感染者の増加傾向が見られるかなどの予測データを作成することができます。
予測データも感染状況同様、WEBサイトで市民が見ることができれば、あえて、感染者が多いエリアに足を運ぶことを避けたと思います。(俗に言う『予防措置!!』)
また、企業がこのような情報をリアルタイムで把握できていたら、『会社の近くで感染者が増えたから、午後からの業務は取りやめて、今後1週間は在宅にして、従業員の感染防止をしよう』などの判断が可能になったかもしれません。
先ほど、『新しい関係性を作る』ことが重要と書きましたが、『新しい関係』とは、『既存のIT システム』だけでは得れない情報を『外から』得ると共に、それらを分析して、様々な対応に柔軟に反応できる体制を作ることになります。
このように、『既存のIT システム』だけでは解決出来ない課題や問題に対して、『新しい関係を作り続ける』ことで、『不便が無くなり、あらゆる面で豊かにできる』ことが、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の根幹にあります。

次回以降、デジタル・トランスフォーメーション(DX)が必要とされている背景や、活用推進方法についてご紹介させて頂きます。
今回は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、
『IT 技術を活用する事で、人々の不便を無くす、生活を豊かにする』、そして『新しい関係性を作り続ける』 こちらを受け止めて頂ければ幸いです。
ハイブリッドテクノロジーズグループでは、DXを推進する体制として、日本とベトナムチームが融合しながら上流から下流まで顧客と一緒にアイデアを練り上げ、中小企業のDX推進体制を提供しております。

➠ デジタル・トランスフォーメーション(DX)が必要とされている背景や、活用推進方法
➠ デジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現に向けての取り組み方法(企画編)